ベトナムの自動車メーカーVinFastが、意欲的な事業計画を発表して話題を集めています。VinFastは、BMWから知的財産権を譲り受け、ピニンファリーナがデザインしたセダンとSUVを量産するのに先立ち、マグナ・シュタイアと自動車生産に関するコンサルティング契約を締結しました。2018年10月に、パリモーターショーにこれらの車を展示する予定です。

2004年、本田技研工業の元社長は、以下のように語ったそうです。
「中国が、ホンダのバイクをコピーして生産するが、これはもう止められない。コピー品は品質は悪いから、日本が勝つと言われているが、最初はコピーでも、10年も作り続けると色々な問題が起き、日本が苦労して今の技術を作り上げたように、彼らも学ぶんです。コピー品の性能を調べました。驚くことに、性能も、品質も、ホンダの80%くらいの出ていました。そこで、中国のコピー会社の中の優秀な会社を選び、低価格バイクは、技術指導をしてホンダの純正として生産してもらうことにしました」

VinFastの量産する自動車も、あと10年もすれば、日本の自動車技術の8割程度には追いついても不思議ではありません。BMWの知財が入っているため、キャッチアップはもっと早いかもしれません。

日本電器産業の衰退の象徴は、ホンハイによるシャープの買収です。GEは、1985年にテレビ事業撤退を決めました。1990年代にゼニスがフランス企業に買収されて以降、米国には家電産業はありません。2010年には、GM・クライスラーはチャプター11になり、かろうじて残ったのは、FORDだけです。

アメリカでは、自動車産業は衰退産業です。アメリカは、戦後の発明であるコンピュータを利用したGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が隆盛を極めています。自動車が、今でも経済で大きな地位を占めるのは、日本とドイツだけ、つまり、敗戦国だけです。

B29の爆撃による終戦から、わずか5年後の1950年の朝鮮戦争では、F86ジェット戦闘機がミサイルを打っています。終戦直後に、ジェット、ロケット、コンピュータが発明されました。

1969年には、H2ロケットの2倍の大きさ100mのサターンロケットで打ち上げられたアポロが、コンピュータ制御で月に着陸しています。映画「トップガン」で使われたF14戦闘機の初飛行は1970年でした。本田技研工業が、本格的に自動車産業に参入し、初代シビックを発売したのは1972年でした。F14戦闘機が飛んだ2年後です。つまり、敗戦国は、戦後の復興のため、戦前の発明である電気と自動車産業に国力を使い、戦後の発明に深く関与できなかったのです。

日本が、戦後の発明であるジェット、ロケット、コンピュータに関与できなかったことが、1990年までに戦前の発明の電気・自動車で世界一になって以降、日本から何も生まれない原因と言えるでしょう。今では、最後の自動車産業にしがみついているしかないのが現状です。

VinFastの車を見て、戦前の発明の恩恵を受け続けている日本の自動車産業が、世界最強だったGMと同じ道をたどる日は近いのではないかと感じます。