先日、IT企業 株式会社アクシア 代表取締役 米村歩氏によるコラム「プライベートでは一切勉強したくない」と言っていた社員のことが、ネット上で話題になりました。米村氏は、

エンジニアがプライベートで勉強するかしないかは完全に本人の自由

とおっしゃいます。さらに、

1.勉強しない人は勉強する人には勝てません
2.勉強しない人は勉強する人ほど給料は上がりません
3.勉強しない人は勉強する人ほど重要な仕事を任されません
4.業務時間で習得したスキルは10年後使えなくなるかもしれません
5.勉強しない人は転職が厳しくなるかもしれません

普通に考えて勉強しない人は勉強している人に勝てるわけがありません。勉強しなくても良いけど、その自分の選択の結果には責任を持ちましょうというだけのシンプルな話なのですが、これをどうしても受け入れたくない人も一定数存在するようです。

Aさんも伸び悩むというか、周りのエンジニア達にどんどん後れを取る状況に悩むようになり、ある日相談を受けました。どうしたらAさん自身も周りのエンジニアのように成長できるのかと。

そこで私は「成長したかったら勉強するしかないんじゃないか?」と普通のことを言いました。するとAさんは、絶対にプライベートで勉強はしたくない、プライベートで勉強することは人生の無駄遣いでしかないと反論してきました。

何度も言うように、プライベートで勉強しないことについて私は何の反論もありません。ただしその結果については自分で責任を持ってねというだけの話です。

Aさんの要求は、プライベートでは勉強したくない、でもプライベートで勉強している他のエンジニアと同じように成長したいということだったと思われますが、正直こんなこと私に一体どうしろというのか。

自分でテスト勉強は一切したくないけど、定期試験では100点取らせてほしいと言っているようなものです。

アクシアは残業ゼロのIT企業ですが、残業ゼロに魅力を感じて応募してきてくれる人もたくさんいて、その弊害なのかもしれません。

残業ゼロなのでプライベートな時間を自由に使っていただき、どのように過ごそうとも本人の自由ですが、どんな時間の使い方をしたとしてもそれは自己責任として受け止めなければならないことは当たり前のことです。Aさんにはそのことが理解できなかったようでした。

と付言されています。米村氏のおっしゃる通りだと思います。

ベストセラーとなった「LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略」で説かれているように、社会人になった後も、継続的な学習や学び直しは、21世紀を生き抜くためにどうしても必要です。「意外と少ない社会人の読書量、最多は約4割の0冊『忙しい』『ネットで十分』」では、36.1%の社会人が1ヶ月間に1冊も本を読まなかったという調査結果が出ていますが、これは自殺行為です。地方在住で近くに書店がない場合でも、今ではネット通販や電子書籍で気軽に本を読めますし、図書館を利用しても良いわけです。

1年は52週あります。1年間に100冊の本を読むことは、読む意思さえあれば十分に可能です。本を全然読まないというのは、危機感がなさ過ぎますし、あなたの人生の可能性を摘んでしまうことにつながります。読書習慣があれば、ハイレベルな人たちとの対話を臆せずに行うことができ、知的怠惰な人たちとの悪縁を断ち切ることができます。読むべきものを読めば、知的レベルが上がるので、会うべき人に会うことができます。また、見るべきものを見て、その価値を感じる感性を体得することもできます。

また、毎日、 PCを用いた公開情報分析(オープンソースインテリジェンス)を行うことは、費用対効果で抜群に優れていますので、強くお勧めします。私は、毎朝、世界の数十の主要紙のウェブサイトにざっと目を通します。日本の義務教育修了者は、英文でしたら(中学英語で)そのまま読めます。他の言語で書かれた記事の場合、Google Chromeブラウザを使えば、自動翻訳機能が付いていますので、それを利用しれば日本語で大意を掴むことができます。「決定版 ニッポンのグローバル人財教本」の184頁以降には、具体的な手法が記述されていますので、この本を読まれるのも良いかと思います。

よくあることなので、以下に例示しておきますが、日本の主要メディアは、日本で暮らす人にとって非常に重要な情報を一切流さないことがあります。

2012年12月3日付のFinancial Times(フィナンシャルタイムズ)は、「Japan bank chief warns on bond exposure(邦銀のボスが、日本国債が、マーケットの価格変動にさらされていることの割合について警告)」という記事を掲載しています。当時、三菱東京UFJ銀行(現 三菱UFJ銀行)頭取であった平野信行氏が、日本国債のデフォルト(債務不履行)が発生すると、日本の銀行システムに重大な影響を及ぼすであろうと率直に吐露されています。三菱東京UFJ銀行が保有する日本国債の平均残存年数を約3年にしている(“On average it is about three years.”)と述べています。日本最大のメガバンクの頭取が、「日本国債は危ない」と明言しているのですから、この記事は、日本で暮らす人には極めて重要なニュースであることに疑いの余地はありません。しかしながら、日本の主要メディアには、このニュースに追随するところは1社もありませんでした。

このFinancial Times記事が発表された後、第二次安倍内閣が誕生し、2013年、日本銀行総裁には黒田東彦氏が就任しました。黒田総裁は、「異次元の金融緩和」として、市中銀行から数百兆円の日本国債を買い取り、日本銀行を「池の中のクジラ」にし、マーケットからの警告である金利を機能しないようにしました。法政大学経済学部教授の小黒一正氏が主張されているように、「日銀が国債買い切っても負担なき財政再建はムリ」なのです。日本で暮らし、円で決済している個人や企業は、いつか必ず手痛いしっぺ返しを受けることになります。

日本の主要メディアは、当然、このFinancial Timesの記事に目を通しています。日本の主要メディアには、官公庁から無料で記者クラブの利用が許されていますので、癒着した関係にあります。ですから、日本の主要メディアは、官公庁の意向を「忖度」し、読者の利益になる記事を書かないのです。読者から購読料を徴収しておきながら、官公庁や広告主にとって本当に都合の悪い話題は一切流さないのが日本の主要メディアです。日本の主要メディアによって、日本の世論は作られます。恐ろしいですね。

賢明な皆様におかれましては、彼らの策略に騙されないよう、日頃の適切な情報収集に努めることを強くお勧めします。